家庭用エアコン「白くまくん AJシリーズ」の2024年モデル RAS-AJ22Rと、その後継機となる2025年モデル RAS-AJ2225Sを、買い替え検討中のユーザー向けに徹底比較します。
両モデルの違い・進化点から、価格差・機能差・設置条件・電気代・保証・口コミ評価・スマホ連携に至るまで、あらゆる項目を網羅的に解説します。
記事後半では「どちらを選ぶべきか」の判断材料も提示しますので、ぜひ参考にしてください。
基本スペックの比較 – 能力・畳数・寸法など
まずは 基本スペック を比較しましょう。RAS-AJ22R(2024年)とRAS-AJ2225S(2025年)は、ともに主に6畳向け(いわゆる「6畳用」)のシンプルエアコンです。
冷房・暖房ともに定格能力2.2kWで、適用畳数の目安も冷房時6~9畳程度/暖房時5~6畳程度と全く同じです。
要するに、基本的な冷暖房性能に差はありません。以下に主な仕様をまとめた比較表を示します。
仕様項目 | RAS-AJ22R (2024年モデル) | RAS-AJ2225S (2025年モデル) |
---|---|---|
発売時期 | 2024年3月 | 2025年4月 |
冷房能力 (定格) | 2.2kW | 2.2kW |
暖房能力 (定格) | 2.2kW | 2.2kW |
適用目安畳数 (冷房時) | 木造和室:6畳 / 鉄筋洋室:9畳 | 木造和室:6畳 / 鉄筋洋室:9畳 |
適用目安畳数 (暖房時) | 木造和室:5畳 / 鉄筋洋室:6畳 | 木造和室:5畳 / 鉄筋洋室:6畳 |
室内機サイズ (幅×高×奥) | 780×280×215mm | 780×280×215mm |
室内機質量 | 7.5kg | 7.5kg |
室外機サイズ (幅×高×奥) | 658(+60)×530×275(+54.5)mm | 658(+60)×530×275(+54.5)mm |
室外機質量 | 19.5kg | 19.5kg |
使用冷媒 | R32(新冷媒) | R32(新冷媒) |
コンセント形状・電源 | 平行型・単相100V 15A | 平行型・単相100V 15A |
※寸法の「(+◯◯)」内はバルブ等を含む最大値です。両機種で数値が全て同一であることからも分かる通り、2025年モデルになってもハードウェアの基本仕様は引き継がれており、大きな変更はありません。
デザインも共通で、シンプルな横長フォルムの室内機にスターホワイト色(つや消し系の白)という外観です。一般的なエアコンの無難なデザインで「特に違和感はない」と評価されています。
本体高さ280mmと薄型ではありませんが、大きすぎず「狭いスペースにもすっきり収まるコンパクトサイズ」が売りです。
特に奥行215mmという薄さは、室内機の出っ張りを抑えたい方に魅力で、「奥行きが215mmと薄型なので、エアコンの出っ張りが気になる人にピッタリ」とも紹介されています。
室外機も幅658mmと小ぶりで、ベランダを圧迫しにくいサイズです。
設置スペースの制約が大きい住宅でも扱いやすい点は、両モデル共通のメリットと言えるでしょう。


新機能や追加された改良点 – 2025年モデルで進化した部分
基本スペックが同じ両機ですが、RAS-AJ2225S(2025年モデル)では新たに追加・改良された機能があります。主な進化点は以下の通りです。
- シーズン前自動点検の搭載 – 2025年モデル最大の新機能が、この「シーズン前自動点検」です。これは本格的にエアコンを使い始める前に、エアコン内部の状態を自動チェックし、異常があればお知らせしてくれる機能です。例えば夏前や冬前に1分程度の試運転を自動で行い、冷媒ガス圧力などから故障の予兆を検知してメンテナンスを促す仕組みで、メーカーいわく「適切なメンテナンス時期を知らせてくれる」便利機能です。2024年モデルにはこの機能が無かったため、故障予防・早期発見という点で2025年モデルは安心感が向上しています。
- リモコンの改良 – 細かな点ですが、付属リモコンの型番は2024年モデルが「RAR-8P2」で、2025年モデルも同一型番(RAR-8P2)のようです。大きな変更はないものの、引き続きシンプルで使いやすいリモコンが付属します。ボタン配置や機能も基本同じで、「リモコンがコンパクトでシンプル、操作しやすい」と好評です。そのため操作感での差異はありません。
- その他の仕様変更点 – 冷暖房能力や省エネ性能、サイズ・重量などハード面での変更はなく、見た目や動作音も同等です。強いて言えば製造年次の違いによる細かな制御アルゴリズムの最適化などは考えられますが、カタログスペック上でユーザーが体感できる差はほぼありません。つまり新旧モデルの差は、新機能(シーズン前点検)の有無が最も大きなポイントとなります。
省エネ性能と年間消費電力量の比較
続いて省エネ性能を見てみましょう。結論から言うと、両機種の省エネ性能は全く同一です。
通年エネルギー消費効率(APF)は5.8で、2027年度省エネ基準達成率は約87%となっています。
また、年間の期間消費電力量(冷房期間と暖房期間の想定使用電力量合計)は717kWhで共通です。この値を電気代に換算すると、1kWhあたり27円程度の場合で年間約19,300円前後の電気代となります。
したがって、2024年モデルだから効率が悪い、2025年モデルだから電気代が安い、といった差はありません。
もちろん、省エネ性能が同じとはいえ実際の電気代は使用状況によって上下します。
しかし「省エネ基準達成率87%」という数値はエントリーモデルとして標準的であり、決して極端に電力を食う機種ではありません。
特にこのクラスは価格を抑えつつ一定の効率を確保した設計で、運転音やパワーとのバランスも取れている印象です。
ユーザーからも「6畳以上の部屋でもある程度冷暖房できる」「冷房時の音が静か」といった声があり、省エネ性含めコストパフォーマンスの高さが評価されています。
内部清掃・乾燥機能の比較 – カビ対策は?
エアコン使用時に気になる内部のカビ・清潔性について、両モデルとも基本的な内部乾燥機能を搭載しています。
具体的には、リモコンで設定しておくと冷房・除湿運転停止後に自動でエアコン内部を乾燥させる「エアコン内部クリーン(内部乾燥運転)」機能です。
弱暖房と送風により熱交換器や送風路を約2時間かけてしっかり乾燥させ、カビの発生を抑制します。
この内部クリーン機能はRAS-AJ22RにもRAS-AJ2225Sにも共通で搭載されており、仕様上の違いはありません。したがって、カビ対策性能も両者で同等です。
ただし、いわゆるフィルター自動お掃除機能(フィルターに付いたホコリを自動でブラッシングしてダストボックスに回収する機構)は、両モデルとも非搭載です。
これは上位シリーズではないベーシックモデルゆえで、フィルター掃除はユーザー自身で定期的に行う必要があります。
内部クリーン運転も「オフシーズン中に既についてしまった汚れやカビを除去する機能ではない」と注意書きされており、内部を完全に無菌に保つものではありません。
しかし冷房後の結露を乾かしてカビ繁殖を抑える効果は十分期待できます。
口コミでも「内部クリーンをセットしておくと自動で乾燥してくれるので安心」といった声が見られ、このクラスとしては必要十分な清潔機能と言えるでしょう。
なお、日立のエアコンには上位機種に「凍結洗浄」や「ステンレスコーティング」「カビバスター」など強力な内部清掃機能を備えるシリーズもあります。
AJシリーズ(RAS-AJ22xx)ではそれらは省かれていますが、その分価格を抑えているので、シンプル機能で割り切る代わりに購入コストを低減しているわけです。
内部清潔へのこだわりが強い方は上位モデルも検討が必要ですが、最低限のカビ対策機能は両モデルとも持っていると覚えておいてください。
設置のしやすさと据付互換性 – サイズ・配管・施工条件
設置性については、前述の通り両モデルとも室内機・室外機ともにコンパクトサイズで取り回しやすい点が特徴です。
高さ280mmの室内機は、天井と窓枠の隙間が狭い場所でも収まりやすく、幅780mmと奥行215mmの寸法も「狭いスペースにもすっきり収まる」とされています。
特に古い住宅でスペースが限られている場合や、カーテンレールの干渉が心配なケースでも、このサイズ感なら安心でしょう。
据付板(背板)や配管位置の互換性についても、基本的にAJシリーズは年度モデルが変わっても大きな変更はないものと推測されます。
実際、RAS-AJ22RとRAS-AJ2225Sは外形寸法や重量が全く同じで、室内機裏側の配管接続径や取り付けピッチも共通と考えられます。
メーカー公式の施工資料によれば、RAS-AJ22Rの配管径は液側φ6.35mm・ガス側φ9.52mmで最大配管長15m(チャージレスは20mまで)と記載されています。
RAS-AJ2225Sもこの仕様を引き継いでおり、据付工事の条件は同一です。
つまり、旧モデルから新モデルへの載せ替え(入れ替え工事)も容易で、場合によっては既存の配管や配線を再利用して工事時間・費用を抑えることも可能でしょう。
もちろん設置環境によっては多少の調整が必要ですが、大きさ・重さ・配管仕様が変わらないことから、「後継機だからサイズが合わず設置できない」といった心配は不要です。
どちらのモデルも単相100V・15Aの平行型コンセント仕様で、日本の一般家庭用エアコンの標準的な電源条件です。
既存エアコンからの交換でも電源工事のやり直しは通常不要と言えるでしょう。
スマホ操作対応 – アプリ連携機能の有無
スマートフォンによる遠隔操作に対応できるかも気になるポイントです。最近はエアコンをスマホで操作したいニーズも高まっています。
結論として、RAS-AJ22R・RAS-AJ2225Sともにスマホ操作は可能ですが、どちらも無線LAN内蔵ではなく、利用には別売のアダプターが必要です。
日立の「白くまくんアプリ」に対応していますが、専用の無線LAN接続アダプター(型番SP-WL3)を本体に取り付けることで初めてスマホ連携が可能となります。
アダプター価格は1万円前後で、コンセントに差し込む小さな通信機を室内機側面のサービス端子に装着する仕組みです。
スマホ連携を利用すれば、外出先からスマホでエアコンをON/OFFしたり、運転モードや温度・風量設定を変更したりできます。
さらに室内温度や外気温の確認も可能で、例えば夏の帰宅前に冷房を入れておいたり、ペットの留守番時に室温モニターする、といった使い方ができます。
音声アシスタント(AlexaやGoogle Assistant)ともアプリ経由で連携可能なので、「スマートスピーカーから操作」といったことも実現できます。
注意点として、新旧モデルでスマホ対応に大きな差はありません。
RAS-AJ22RもRAS-AJ2225Sも、対応アプリや必要アダプターは共通なので、「2025年モデルだけスマホ対応」というわけではないのです。
ただ、2025年モデル発売時点では各社エアコンでWi-Fi内蔵機種が増えてきているため、同クラスでも他社だと無線LAN標準搭載の機種が存在します(例:富士通ゼネラルの2025年モデルなど)。
日立 AJシリーズはコスト重視ゆえオプション対応ですが、裏を返せば不要な人はアダプター代を節約できるとも言えます。
スマホ操作を重視するなら別売アダプター代を含めた予算計算をお忘れなく。


利用者の口コミ評価・満足度
ユーザーレビューや満足度もチェックしておきましょう。先述のようにRAS-AJ22R(2024年モデル)は価格帯の割にレビュー評価が高く、多くの購入者が満足しています。その口コミ傾向をまとめると:
- 冷暖房の効き: 「定格6畳用だが木造6畳より広い部屋でもある程度冷暖房できている」との声があり、パワーに余裕があると感じるユーザーもいます。22クラス標準の性能ですが、部屋条件によっては8畳近くでも補助的になら十分、といった意見です。ただし部屋の断熱性や間取りによるため、公式の畳数目安以上を期待しすぎない方が良いでしょう。
- 静音性: 「冷房時の音が静かで満足」「寝室用にも十分静か」等、動作音の静かさを評価する声が目立ちます。特に弱冷房時や除湿運転時はとても静かとのことです。ただし最大パワー運転時にはそれなりの風切り音はしますので、「音:普通」という声もありました。総じてエアコンの中では標準~やや静かな部類といえます。
- 操作性: シンプルな機能構成ゆえ「リモコンが直感的で使いやすい」「ボタンが少なく高齢者でも扱いやすい」と好評です。タイマーも入/切それぞれ簡単に設定でき、説明書を見なくても迷わないとの声があります。スマホ連携については実践している人は少ない印象ですが、「無線LANアダプターを付けて遠隔操作でき便利」との評価も一部見られます。
- 満足度: 「国内メーカー製で安くて良い買い物だった」「必要十分な機能で価格に見合った満足度」とコストパフォーマンス面の満足が多いです。一方で不満点としては、「左右風向は手動調整」「人感センサーなど高機能は無い」「フィルター自動清掃が無い」など、上位機種にある機能が無い点を挙げる声もありました。しかしそれらは承知の上で購入しているケースがほとんどで、「シンプルで十分」と捉えるユーザーが大半のようです。
2025年モデルRAS-AJ2225Sについては発売間もないためレビュー数は少ないですが、基本的に中身は同じなので、ユーザー満足度も同様に高い傾向を辿ると予想されます。
シーズン前自動点検機能については今後使った人の評価が出てくるでしょうが、「あれば安心だが無くても困らない機能」とも言えます。
現段階では目立った不具合報告もなく、信頼性も引き続き良好なようです。
型落ち購入のメリット・デメリット
最後に、型落ちモデル(RAS-AJ22R)を選ぶメリット・デメリットについて整理します。
買い替え時には新型に飛びつくか旧型を安く買うか悩むところですが、それぞれ以下のポイントがあります。
〈メリット – RAS-AJ22R(旧モデル)を選ぶ場合〉
- 価格が安い: 前述の通り、新型より数万円安く購入できるのが最大のメリット。限られた予算でエアコンを導入したい場合、旧モデルのコスパは魅力です。性能差がほぼ無いだけに、「同じ性能なら安い方が良い」と考えるのは合理的でしょう。
- 性能は遜色ない: 冷暖房能力や省エネ性は新型と同等なので、安いからといって快適性が劣ることはありません。実際ユーザーレビューでも旧モデルの性能に不満はほぼ見当たりません。1年落ち程度では技術陳腐化の心配も不要です。
- 実績がある: 発売から時間が経ちレビュー数も多いため、評価が安定して分かっている安心感があります。故障しやすい欠陥も特に報告されておらず、初期不良リスクも低いでしょう。玉石混交の新製品より判断材料が多いのは利点です。
〈デメリット – RAS-AJ22R(旧モデル)を選ぶ場合〉
- 在庫限りで入手性が低下: 型落ち品は時間経過とともに市場在庫が減り、欲しい時に手に入らない可能性があります。特に夏本番が近づくと売り切れるおそれも。購入タイミングによっては新型より入手困難になるかもしれません。
- 新機能がない: シーズン前自動点検など後継機で追加された機能は使えません。この機能自体は必須ではないものの、「どうせ買うなら最新の便利機能も欲しい」という場合は不満になる可能性もあります。
- 将来的な保証・サポート: メーカー保証自体は購入から1年間(内容は新旧で同じ)ですが、例えば5~6年後に修理パーツの在庫期間などを考えると、新型の方が長くサポートされる傾向があります。もっとも日立の場合エアコンの補修用性能部品保有期間は概ね6~7年程度ですので、1年違いで大差はありません。しかし長く使う前提なら最新モデルのほうが安心感がわずかに上とも言えます。
以上を踏まえると、とにかく予算重視で現状の性能を安く手に入れたい人には旧モデルRAS-AJ22Rが魅力です。
一方、多少高くても新機能や最新モデルの安心感を求める人にはRAS-AJ2225Sが向いていると言えるでしょう。
まとめ – どちらを選ぶべきか?
どちらを選ぶべきかは、主に予算と新機能へのこだわりで決まります。最後に判断材料を整理します。
- 基本性能は同じ: 冷暖房能力や省エネ性能、サイズや設置性に違いはありません。「冷える暖まる性能」に関してはどちらを選んでも差はないので、性能面で悩む必要はありません。
- 違いは新機能と価格: シーズン前自動点検の有無が最大の違いですが、これは「あると嬉しい程度」の付加機能です。一方で価格差は1~2万円と小さくないため、このコスト差に見合う価値を新機能に感じるかがポイントです。
- 旧モデルを選ぶなら: 予算優先・コスパ重視派におすすめ。安く買って必要十分な性能を得られ、口コミ実績も折り紙付き。ただし購入は早めに、信頼できるショップから新品を入手するのがおすすめです。在庫僅少の場合は迷っている間に売り切れる可能性もあります。
- 新モデルを選ぶなら: 安心感・最新志向派におすすめ。多少高くても最新モデルで長く使いたい、メーカー保証開始を最新にしたい、追加機能も使ってみたい、といった場合はこちら。今後価格もこなれてくればベストですが、発売直後の今買う場合でも性能強化されていない分割高感は小さいです。
総合的に、「どちらが絶対おすすめ」というよりユーザーの重視点次第です。もし予算に余裕があれば後継のRAS-AJ2225Sを選んでおけば間違いなく、長期的にも安心でしょう。一方で予算を抑えつつ十分な品質のエアコンが欲しいならRAS-AJ22Rでも大いに満足できるはずです。
最後に補足として、エアコンは設置工事も含めたトータル費用や施工業者の腕も大切です。
信頼できる業者やアフターサービスがある店舗で購入することで、どちらのモデルを選んでも快適に使い続けられるでしょう。
ぜひ本記事の比較ポイントを参考に、ご自宅に最適なエアコン選びにお役立てください。

